2019年9月19日木曜日

マルツェジーネ ガルダ湖 vol.3 バルト山 天上からの眺め

熱帯と寒帯、男と女、天上界と人間界。

突然、対義語を並べてみたが、何事も対になっている方が、物事は面白くなる。 そんな対になるものが、ガルダ湖畔の街、マルツェジーネには二つある。一つ目の対は、此岸と彼岸、つまり東岸の街=マルツェジーネと西岸の街=レモーネで、こちらは船に乗って行き来する。二つ目は山麓のマルツェジーネとバルト山の山頂で、こちらはケーブルカー。

今回は、後者の、バルト山のケーブルカーについて。
街とバルト山の山頂の標高差、実に1750m。暖かい下界で思う存分水浴びを楽しんだら、アクロポリスで涼みながら天上の人となり、素晴らしい眺めを楽しむ。こんな愉楽は滅多に味わえるものじゃない。



僕たちは買い出しなどをしていたら正午を過ぎてしまい、昼食のあとに山麓のステーションに行ったので、長蛇の列だった(朝であれば比較的空いているらしい)。

長い待ち時間を終え,ついにケーブルカーが出発する。遠くに引っ張られていくように、小さくなっていくマルツェジーネの街並み。

途中乗り換えがあるが、乗り換え駅が近付く頃には大きな鏡のような湖面が眼下に広がり始める。乗り換え後の車両は、360度回転するので、窓側のスペースを確保することができれば、まんべんなく景色を堪能することができる。山肌が樹木から岩へと変化し始めると、もう山頂は近い。この合計約15分の間に、世界は劇的に変化してゆく。


山頂に到着したケーブルカーから降りると、ヒヤリとした外気に驚かされた。とりあえずガルダ湖に向かって切り立っている崖からの景色が見たかったので、登りたくないとぐずる次男をせかして、50mほどの道のりを山頂へ向かった。 そこに広がっていたのは、息を飲むような景色。山頂からは断崖絶壁が街に向かって駆け下りていると思っていたがそうではなく、山頂の平地からは急勾配な、といっても転がり落ちたら命をおとすような傾斜ではなかった。だから息子たちと斜面を慎重に降りて、名も知らぬ群鳥が羽を休めていた場所へ向かった。

その場所での最強生物である僕たちの接近に驚いて、一斉に、しかし律儀に弧を描きながら飛び立ってゆく黒い鳥たちを尻目に、僕たちは明け渡されたその場所から、はるか眼下を睥睨する。ちょこんと飛び出した城と、そのまわりにカサブタのようなマルツェジーネの街。


ここからジャンプしたら、ひょっとして一気に街の中心までとんでいけるんじゃないか、もしくはここから石を投げてしまったら、雪崩的に岩が転がり下りて、城の尖塔をボーリングのピンのように破壊してしまうのではないか。そんな小さなスリリングを楽しみながら、しばらく尾根を散策した。



後日、岩の組成について調べてみると、この周辺は堆積岩で、化石もあるのだそうだ。当日は、次男と一緒に、岩肌へ目をこらしながら歩いていたけど、見つけることができなかった。

遠くではハングライダーを楽しむ人々やハイキングを楽しむ人々が行き交っている。
遠くの方で牧歌的な鈴の音が聞こえたので、その方向に行ってみると、白い点々が見えた。近づいてみると羊の群れだった。

正直、バルト山でのハイキングは、さほど期待していたわけでもなかった。むしろ、この街に来たからにはケーブリカーにも乗らねばなるまい、というような義務感のほうが大きかった。しかし、行ってみたらどうだろう。また、あの場所にいきたいな、って気になっている。
次回は、息子たちも、もう青年になっているかもしれない。そうしたら、みんなでハングライダーにでも挑戦してみたい。


※チケットは山麓のケーブルカー駅かマルツェジーネのバス停の観光案内所で買う事ができます。大人往復22ユーロ、子供大往復(14〜17歳)15ユーロ、子供小(14歳未満)10ユーロ。
山頂は空気がひんやりとしているので、上着など持参したほうがいいでしょう。ハイキングをしながら下山することも可。



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